生物多様性情報学の出張所

生物多様性情報学関係のあれこれを中心に扱います。「生物多様性情報学の情報交換の場」の投稿の抜粋中心。

生物多様性情報へのサイバー攻撃の可能性

下記の記事の紹介です。

ニュース - 動物 - サイバー密猟、絶滅危惧種の新たな脅威 - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト(ナショジオ)

生物多様性情報のもつリスクを端的に示した事例です。政府機関のサーバーに侵入して絶滅危惧種の分布情報を不正入手し、それをもとに密猟などが行われる可能性が示されています。幸い、この記事の事例では、緯度経度情報が暗号化されていることで事なきを得ました。しかし、場合によっては最悪の事態が訪れる可能性もあることは頭に入れ、リスクのあるデータは暗号化やネットワーク接続されたサーバーに入れておかないなど、対策を考えておかないといけないでしょう。

また、サイバー攻撃に限らず、絶滅危惧種の情報をどう共有するのかは難しい問題です。生物多様性に関する情報を集めて検索しやすくすることにより、研究や保全など様々な場面での利便性が比較的に増加しますが、その際には、どの情報をどこまで公開するのを慎重に考える必要があります。その生物がいることを行政や地元が知ること、知られないまま開発が進まないようにすることが必要ですし、エコツーリズムの重要なテーマになる可能性もあります。一方で、情報公開することで、生息地の破壊につながるような乱獲が進むこともあり得ることです。どういう情報を、どういう精度で公開するのかは、保全の状況などの含めてケースバイケースで考えていく必要があります。